薄膜とは?What is thin film?
薄膜とは?
これから薄膜について説明していくよ!
あまり聞き馴染みがないかもしれないけど、私たちの生活に欠かせないものなんだ!
薄膜とはシャボン玉のようなものです。
塗装やスプレーといったコーティングよりも厚さを極めて薄くすることで光と干渉し、きらきらと虹色に見えます。
薄膜の厚さはナノメートル(nm)という単位で、髪の太さの1/1000程度です。
この層の厚さを正確にコントロールしながら何層も積み重ねることで、作られます。
薄膜の役割
薄膜はその材料や基材との組み合わせにより、多岐に渡る役割を果たします。その一部をご紹介します。
光の反射を抑えるためのものです。スマートフォンや光通信用ファイバなどで使われています。
特定の波長域の光のみ透過または反射します。熱感知や赤外センサーなどに使われています。
表面に付着したものをはじきます。撥水、抗菌、防汚などの種類があります。
光を通しながら、電気も通す膜のことです。スマートフォンのタッチパネルなどで使われています。
可視光の反射を抑えながら、透過する光を抑えるもの。映画の撮影カメラに使用されるなどしています。
きっとみなさんも使ったことがあるもの、見たことがあるものがあると思います。
薄膜ができるまで
真空蒸着(法)って何?
真空蒸着(法)とは、真空中で金属や酸化物などの材料を加熱して、蒸発・昇華させて、基板の表面に蒸発、昇華した粒子(原子・分子)を付着または堆積させて薄膜を形成する技術です。
一般的な使用例ですと、眼鏡レンズに付いている反射防止コートやブルーライトカットコートなどがイメージされやすいかと思います。
真空薄膜加工は真空環境の中で行いますが、理由は大気中の水の分子があると気化された材料分子の妨げになり、
膜の密着性と膜質低下に繋がってしまうからです。
蒸着の原理
水を鍋に入れ加熱すると水蒸気となって蒸発します。その上に基板を置くと水蒸気が付着して水の膜ができます。
蒸着の場合は水ではなく、金属や酸化物などを加熱して蒸発気化させ、基板に薄膜を形成します。
水は100℃で沸騰しますが、金属や酸化物の場合は溶かすだけで数百℃以上、蒸発や昇華させる為に数千℃の温度が必要です。
そのため、容器を減圧して気体分子も減少させた真空状態が必要です。
蒸着される基材はガラス、樹脂等で、ドームと呼ばれる傘状の治具にセットされます。基板やレンズなどの製品がドームにセットしますが、当社では様々な製品サイズに対応出来るドーム、治工具を所有しております。
- ●低融点材料に適しています。
- ●Mo、W、Ta等でできた高融点材に、蒸着材料を入れ加熱させて気化させます。
- ●高融点材料に適しています。
- ●ルツボに蒸着材料を入れ、加速された電子ビームを照射し、気化させます。
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●電子ビーム式を基本とし、イオン銃(ガン)でイオン化したガス粒子を基材に照射して膜質を良くする方法です。
イオンアシストをすることにより機密な膜となり、水分による特性変動も無く、密着性も高く良好な膜が得られます。
どんなものでも「真空蒸着法」で薄膜にできる訳ではありません。
「真空蒸着法」以外にも「スパッタリング」という方法があります。
スパッタリングは、アルゴンのような不活化ガスをイオン化し、高速で材料にぶつけることで粒子を叩き出し、基材に薄膜を付着させます。
「真空蒸発法」では困難な融点の高い材料で成膜できるほか、次のような特徴があります。
●成膜した基材との付着力が強い
●膜が緻密に形成され膜質が強い
●成膜プロセスの再現性がよい
●蒸着と比較し、成膜プロセスのスピードが速い
薄膜を作る際には、そのほかの技術も活用されています。
薄膜を特定の形状にすることをパターンといいます。このパターンを有する薄膜を作るには「フォトリソグラフィ」
という技術を使います。トーカイではこのフォトリソグラフィを駆使し「光学多層膜」を様々な形にパターン化しています。
予め薄膜を形成した基板に、光によって固まる、または溶ける樹脂を塗ります。パターン状にくりぬいたマスクを通して光を当て、洗い流すと、樹脂がパターン状になります。樹脂がない部分の薄膜を取り除き、さらに薄膜の上にある樹脂を取り除くと、パターンを有した薄膜が形成されます。
様々な成膜技術とフォトリソ行程を組み合わせることにより、高精度なパターンを持つ薄膜を作ることができます。
当社では、お客様のご要望に応じて、さまざまな材料、パターンを作り出すことができます。
最大1μm精度まで対応が可能です。
50μm
10μm
5μm
2μm
1μm
複数の性質のものを隣り合わせて配置することも可能です。
● パターン例
1.ダイクロ&遮光膜
2.ARMC&遮光膜
3.ミラー膜&吸収膜&ARMC
このように、いろんな材質のいろんなパターンを組み合わせることで、より複雑なパターンを持つ薄膜を作ることができるのです。
精密洗浄技術
薄膜加工に欠かせない技術として、洗浄があります。
薄膜は、基材の上にさまざまな材質の粒子をくっつけることで作られます。
このときに、基材が汚れていると綺麗な薄膜を作ることができないのです。
スマートフォンや携帯ゲーム機の画面に保護フィルムを貼っている人も多いでしょう。フィルムを貼るときに画面にほこりが残ったままだと、気泡が入ってしまったり、画面が見づらくなったり、そこからフィルムが剝がれやすくなってしまったりしますよね。それと同じことが薄膜でも起こるのです。
まずは洗浄液と超音波の力で、基材に付いている汚れを落とします。
洗浄液は汚れの種類や基材の性質によって、アルカリ性のもの、弱アルカリ性のもの、中性のものなどを使い分けています。
洗浄液には、さまざまな化学物質や洗い落とした汚れのかけら(残渣)が含まれています。
それをすすぎ落すため、不純物を含まない純水を使って洗います。
最後に、IPA槽と呼ばれる特殊な液体と装置で乾燥させます。
詳しくは 当社の技術 精密洗浄技術 をご覧ください。
手間をかけているのは洗浄そのものだけではありません。
洗浄の品質を保つため、当社では洗浄装置のメンテナンスにも力を入れています。
汚れた洗浄装置で洗っても、綺麗にすることはできません。
長年の経験に基づき、適切なサイクルを決めて定期的に装置のメンテナンスを行っています。
小さい製品は、「ダイシング」という工程で加工します。
半導体など、そのままの大きさでは加工が困難が製品は、大きめの状態で作ったあとで製品のサイズに切断します。
この工程を「ダイシング」といいます。
当社では主にガラス材製品の基板を切断しチップ化しています。
加工方法としては、薄い砥石を高速回転させ切断するブレードダイシングにて切断加工しています。
こうして作られた薄膜加工製品は、他の部品とともに組み立てられ、その性能を発揮します。
当社では光学部品の取り扱いに慣れた作業員がこの「組立工程」をクリーンルーム内で行うことで、品質の良い仕上がりにしています。
薄膜は、使われている機械のなかのほんの小さな部品でしかありません。
ですが、薄膜の性能によって機械の構造や設計をよりコンパクトにできたり、元々検討していた機能に加えてさらに付加的な機能を付けることができるなど、機械全体の価値向上につなげていくこともできるのです。
薄膜の未来
例えば、最近ではセンサーがたくさんついていて、何かにぶつかりそうになったら警告を出してくれる車も増えてきました。これから自動運転の時代になれば、より高性能なセンサーが必要とされていくでしょう。
そして高性能なセンサーのためには、これまでにはなかったような高性能な薄膜が必要となってくるのです。
センサー以外にも、お客様のご要望も多岐に渡るようになり、これまで扱ったことのないような薄膜を作ることも増えてきました。そして、新たなご要望、新たな材料との出会いが、技薄膜加工技術の進歩にもつながっています。
薄膜加工技術の発展とともに「こんな薄膜が作れるのであれば、これまで考えも付かなかったこんな機械や製品が作れるかもしれない」というアイディアのもとになってほしいと、私たちは願っています。